建築家を雇う前にーアメリカで建築家とは

Emi

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建築家

建築家を雇う前にーアメリカで建築家とは

アメリカで建築家というのは、建築家のライセンス(免許)を取得している人だけです。ライセンスを取得していなければ、法律上、Architect(建築家)と名乗ってはいけないことになっています。建築家は州ごとのライセンスなので、日本の一級建築士のように、アメリカ全土で使えるライセンスはありません。どこの州で建築家の免許を取得しても建築家と名乗ってもいいですが、アメリカ全土で建築家として建築認可の図面にサインすることはできません。建築家がかかわる物件がニューヨークにあれば、ニューヨークでのライセンスが必要ですし、ほかの州に物件があれば、そこの州のライセンスが必要になります。そのため、たとえば、ニューヨークの大手設計事務所では、通常近隣の州(コネチカット、ニュージャージー等)の複数のライセンスを維持しています。ライセンスを保有していない州や海外からの仕事を依頼された場合、デザインだけを提供するか、ライセンスを保有する地元の建築家と一緒にプロジェクトをすることになります。反対に、フランスなどの海外の建築家は、建てる物件の州のライセンスをもっている設計事務所に仕事を依頼してきます。設計事務所にいると、憧れの海外からの建築家に図面をもらって、そこから州の法律や手法にあわせて、図面を仕上げていくこともよくあります。

建築免許の更新

建築家は州によって違いますが、ほとんどの州が2年から3年周期で免許の更新があり、更新時には毎回規定の教育(continuing education )を履修していなければなりません。ニューヨークでは3年間で36時間が必要です。中規模以上の設計事務所に属していれば、建材や設備などの製品を紹介したい会社が、参加者全員のランチを持って、休み時間に単位をくれるレクチャーを催してくれます。ただでランチが食べれるとあって、免許があるなしにかかわらず、みんな喜んで参加します。私のように個人事務所になってしまうと、自分から単位を取りにいかなくてはならないので大変です。しかも私の場合、2つの州に免許があるため、更新の年度が違うのと、建築協会に属するとさらに単位が必要になり、いつも単位をとることに追われている気がします。

日本との違い

アメリカの建築家は建物の意匠が主で、構造、電気、下水道、空調関係の図面はすべて建築家の仕事ではありません。設計事務所がそれぞれのエンジニア会社と契約をむすび、建築家のデザインに合うように何度も一緒に会議をもちながらプロジェクトを進めていきます。図面もそれぞれ別々で、それぞれのライセンスを持つ人がサインと判を押し、建築家の図面の最後に付けて提出します。

日本の建築家は現場によく足をはこびますが、アメリカの建築家はそれほど現場にはいきません。図面を書き上げるまでの方が現場に行くことが多いかもしれません。建築家が使う契約書の雛形によくつかわれる建築協会がだしている、建築家と建て主とで取り交わされる契約書にも建設の時について、Architect shall not be required to make exhaustive or continuous on-site inspections to check the quality or quantity of work.(建築家は作業の質や量を確認するために、現場へ徹底的に、継続的に行くよう要求されません)とかかれています。では、どのように質を維持するかというと、コントラクターがその役割をします。アメリカは契約社会なので、建築家がサインしてシール(建築家の判)したものがコントラクターとの間の契約書になります(この他にもスペックなどたくさんの書類が含まれます)。この契約書どうりに施行していなければ、コントラクターは責任を負わなければなりません。図面とは違うものを使うことになったり、変更したりする場合は、必ず建築家に図面や書類等で提出し、建築家がそれでもいいか、だめか、再提出をするかなどの支持がかかれた判で押し、図面の一部として記録されます。

専門分野

お医者さんが耳鼻科や小児科のように分かれているように、建築家といっても設計事務所によって得意な分野が分かれています。あなたが家を建てるために建築家を雇う場合は、住宅を主に設計している建築家を選ぶ方がいいです。また、レストランやオフィスの内装のために建築家を雇う場合は、それを主に設計している設計事務所を選んでください。コンドミニアムやショッピングモール、学校、空港、ホテル、オフィスビルなど、設計事務所が何を得意とするかは、設計事務所のウェブサイトを見ればわかりますし、建築雑誌に分野別のランキングなどものるので、そこから情報を取ることができます。

建築家との契約

アメリカの建築家に仕事を依頼する時は、建築家との契約書をきちっとみて、不利なことや納得がいかない場合は、契約書にサインする前に、きちっとネゴシエーションをしなければなりません。すべてが契約で成り立っているので、日本のように相手を信じて、契約書をあまり確認せずに任せますというよなことは無いようにしてください。見積もりが予算以内でも、契約書を見て、になにが見積もりに含まれていないかなどを見てください。大抵、図面のプリント代やコピー代、会議のための交通費や食事代などが後から請求されます。図面は枚数もおおく、コントラクターやエンジニアなどに渡すため、たくさんの部数をつくりますし、プリントの値段も通常より高額に設定されていることが多いのでかなりの金額になります。

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