建築家に相談したいけれど、こんな相談だと建築家を雇うには高そうだし、躊躇してしまう事はないですか?でも、もし隣人や友達が建築家だったら、気軽にききたいことっていろいろありませんか?家のなかで使いづらい部分やどうにかならないかと思っている箇所があったら、一度私に相談してみてください。家は毎日使うもの。少しでも使いづらかったりすると、毎日のことなので意外とストレスになってたりします。ちょっとした改装やアイデアで毎日の暮らしがずっと楽になったりします。たとえば、キッチンは動線(調理をする人の動きを線でつないだもの)を考えて作られていないと、毎日お料理を作るのも面倒になってしまいます。家の中に収納のスペースが少ないと、家の中がいつも片付かなかったりします。相談することによって、毎日の使いにくさから開放されることも多いはずです。また、狭いスペースでも、建築家のアイデアでもっと居心地のいい空間にすることも出来るのです。使っていない無駄なスペースでも、使い方次第で、ちょっとした本を読むスペースになったり、勉強スペースになったり有効に使うことができます。ご自分でも、家の中をもう一回見渡してみて、有効利用されていないスペースがあったら、いろいろ考えてみるのも楽しいと思います。私の家にはベットルームへ続く廊下がありますが、片側一面に天井までの本箱があり、反対側の壁には大きなヨギボーと呼ばれる大きなクッションとその両側に小さな椅子がおいてあります。天井の照明もデザインの良い物にし、暖かい色の電球に代えて雰囲気をだすととても居心地の良い空間になっています。子供はいつもそこで本や漫画をよんでいますし、私も音楽をきいたり、子供一緒にと絵本やアートの本を見たりしています。子供が大きくなっても、きっとこの空間と居心地のよさはずっと覚えているはずだと思っています。子供が本を読むのが嫌いでも本がちょっと読みたくなる空間と雰囲気を作ってあげれば、子供は本を手にとってくれるはずです。狭いスペースでも、アイデア次第で居心地のいい空間を作ることができます。
私は母親でもあるので、住居はデザインだけではなく、毎日の使いやすさや居心地のよさを考えて作ることが重要だと思っています。雑誌にでてくるようなデザインにすぐれた、見た目がいいものを作るのは簡単です。でも、住宅はアートのように人に見せるためのものではありません。毎日人が生活する場所です。デザインだけにとらわれずに、住む人が毎日生活するのに使いやすく、そこに集いたくなる居心地のよさが大切です。たとえば、昔には、コンクリートの打ちっぱなしの家がはやりましたが、見た目はよくても断熱剤が壁に入っていないので、冬は寒いし、子供がいれば硬い素材は危ないです。また、天井が高く、天井まで窓がある家は雑誌では素敵です。でも、天井の電球をとりかえたり、窓を掃除するのは簡単には出来ず、わざわざそのために人を雇わなくてはならなくなります。アメリカのような仕切りのない、リビングとキッチンが一緒になったオープンキッチンも素敵だと思いますが、アメリカ人と違って、コンロを使ってよくお料理をするアジアの人にとっては、キッチンまわりを常に綺麗にしておくのは大変ですし、臭いもいリビングに充満してしまいます。雑誌やテレビに出ている家は生活感がない空間です。本当の家はそこに人が住み、毎日の生活が営まれていく空間です。デザインはもちろん大切ですが、それと共に自分の生活に合った、使いやすく人が集いたくなる居心地のいい空間を作ることがなによりも大切です。
以下に、相談されて考えたものや、自分の家で実際にやった、ちょっとした工夫で使いやすくなったり便利になった例を書きますので, 自分にあった住みやすい住宅にするためのヒントとして参考にしてみてください。
- クローゼットを有効活用する:掃除道具や洋服、また、タオルなどを収納するクローゼットがあると思いますが、そのクローゼットの扉の位置を変えることで、利用しやすくなったり、違う目的に使えたりします。たとえば、クローゼットが廊下にあって、バスルームに隣接している場合、バスルームの方の壁を開けて、扉をつけると両側から出し入れできるので、バスルーム側から汚れた洋服をビンに入れると、反対側のクローゼットのドアから汚れ物を回収する事ができますし、タオルなども洗濯後にバスルームに入らずにクローゼットに収納することができます。また、キッチンが狭く、パントリー(食品やミキサーなどの電化製品等をを貯蔵するクローゼット)がない場合は、隣接する部屋にクローゼットがあれば、隣接する部屋のクローゼット側の扉を閉じてしまい、キッチン側に扉を付け替えてパントリーとして利用することも可能です。
- バスルームの隣の部屋をランドリールームと家族全員の洋服のクローゼットにする:汚れ物を回収し、毎日の洗濯をし、たたんで、家族全員のクローゼットにしまいに行くのは意外と時間をとられる仕事です。子供部屋や寝室が二階にあれば、なおさら行ったりきたり重労働です。そこで、バスルームの隣の部屋をまるごとランドリールーム兼洋服のクローゼットにしました。家族全員の洋服をすべてそこに収納するようにして、汚れ物の回収、洗濯、折りたたみ、洋服ダンスに仕舞う工程をすべてその部屋だけで済ませるようにしました。隣がバスルームなので、洗濯機のための水道管や下水を引いてくるのも簡単に出来ます。子供部屋も寝室も、クローゼットがない分広々します。朝起きて、バスルームに行けば、すべて準備がととのいますし、帰宅しても、上着をクローゼットに掛け、手を洗い、隣で部屋着へ着替えればよく、2階へ行ったり来たりする必要もなくとても便利になります。
- 壁の中を利用する:今の住宅は限られたスペースで部屋を広く見せるために、収納スペースが少ないものが多いです。家に収納スペースが少ないと、部屋がなかなか片付きません。収納を増やしたいけれど、家具は置きたくないという場合、壁の中を利用することが出来ます。普通の壁は奥行きが4インチなので、浅い収納になってしまいますが、シャワー室にシャンプーやリンスなどを置くスペースをつくれますし、歯ブラシやお化粧品を置く収納を作ることができます。また。壁によっては配管などのため、壁が厚めになっていて開けてみると意外と壁の中が空洞なことがあり、深めの収納クローゼットを作ることが出来ます。
- 作りつけの家具を利用する:部屋が狭いけれど、勉強机が欲しかったり、収納場所を増やしたい場合、作りつけの家具がおすすめです。狭いスペースでも、作りつけの家具を利用すると最大限に使えます。また、プリンターを入れるスペースはスライド式にしたり、キーボードの収納場所を作ったりとアイデア次第で、自由自在にアレンジできますし、それによって自分が使いやすいものにする事が出来ます。