Emi
建築家
コンドミニアムを買う前に
別荘や投資目的または住居として、ハワイなどのアメリカで、コンドミニアム(日本でいうところのマンション)を購入を考えていますか?日本でマンションを購入するのと同じ感覚で購入してしまうと後で大変なことになります。不動産投資ですすめられたり、ハワイの気候のよさに惑わされたりして、よく考えずに購入する方を多く見受けられます。コンドミニアムを購入後にいろいろな問題に直面し、相談されることが多いので、みなさんに購入まえに知っていて欲しい事を書きたいと思います。コンドミニアムのベーシックな情報は、たくさんの不動産屋のウェブサイトに情報が載っているので、ここではそういった事は省きます。
コンドミニアムの規則
あなたがコンドミニアムを購入して(または購入直前)まず目にするのは、渡される分厚い書類の束です。書類の束は、州ごとに中身は違いますが、おおよそ、売買証明書、コンドミニアムの建物にかかっている保険の書類や、年次財務状況、年次会議報告書、建物を維持するのにこれからかかるであろう修繕費の推計、コンドミニアムの規則などが含まれています。法律上コンドミニアムの部屋を買った人に渡さなければなりません。その中のコンドミニアムの規則には、建物の維持や近隣との関係など事細かに定められた規則が書かれています。どのコンドミニアムにもそれぞれにコンドミニアムで決められた規則があり、それに必ず従わなければなりません。実は、日本よりもアメリカは規則や法律がとても厳しいのです。日本の感覚で、たいした事は書いてないだろうと読まずにいて、規則に違反して罰金や裁判沙汰になることや、最悪の場合い、コンドミニアムから立ち退きにあうことさえあります。知らなかったではすまされないのです。
書類のなかにある、Condominium Declaration, Condominium Bylaw, Condominium Rules and Regulationにコンドミニアムの規則が書いてあります。そのなかには、共有部分の説明のほかに、より生活に密接している規則が書かれています。コンドミニアムによて、その厳しさは違います。別荘や投資の購入者が多いコンドミニアムより、実際に居住している購入者が多いコンドミニアムのほうが、規則がより厳しいことが多いです。なぜなら、この規則は、住民が集まって決められてきているものだからです。コンドミニアムによって規則は違いますが、規則には、洗濯機や掃除機などの音の出るものの使用時間や、ペットを飼っていいかどうか、部屋の改装について、ベランダの家具、部屋のブラインドやカーテンの色、引越しや家具の配達の時間、自分以外が部屋を使用するときの登録、人に部屋を貸すことへの制約など、驚くほど細かく決められています。購入してからこんなはずではなかったとなる前に、購入前に書類に目を通す事をお勧めします。尚、この規則を変えることは簡単には出来ません。
年次会議と投票
一年に一回、コンドミニアムのマネッジメント会社から重要そうな封筒が届き、中には色のついた紙にProxyとかかれたものが入っています。サインして返送するように書かれているので、心配で相談されることがあります。まず、このProxyの前に説明しなければならないことがあります。コンドミニアムは年一回の住人全員が集まる会議が開かれます。ここでは、住民の苦情や、建物の修繕の必要性、または財務状況など、コンドミニアムに関することはなんでも住民みんなで話し合います。また、コンドミニアムの法律を変える投票や、ボードメンバー(後に説明があります)に空きが出る場合の投票などが行われます。ただし、この会議は住民がある一定以上の参加者がいないと中止され、延期されてしまいます。(州によって所有者の何%が必要か決められています)そのため、会議に参加できない所有者は、あらかじめProxyにサインして提出することによって、法律で決められた人数を確保して、会議が有効になるようにしているのです。もう一つ、このProxyには投票権がついています。そのため、出席できない場合は、この投票を代わりにする人の名前を書くところや、ボードメンバーを選抜する場合は、投票したい候補者の名前をかくか、それぞれの候補者に平等に票を分配するなど、Proxyのフォームにいくつかの選択する箇所があります。会議に参加できる場合は、当日に受付でProxyを提出します。毎回送られてくるフォームは同じなので、一度書き方を教えてもらうといいと思います。
ボードメンバー
ボードメンバーとは、住人の中から投票(上に説明した年次会議で投票されます)で選ばれたボランティアで構成され、コンドミニアムの住人の代表者として、コンドミニアムの運営を担っています。Home Owner Association(HOA)のBoard of Directorsとよばれます。人数はコンドミニアムによって違いますが、だいたい、President, Vice President, Secretary、 Treasurerの4人からなっています。ボードメンバーは頻繁に会議をもち、コンドミニアムが健全に維持できるようさまざまな取り決めや、話し合いをしています。ボードメンバーはビルのメンテナンスや財務、規則を施行したり、維持したりするための強い権限を持っています。住人が規則に違反していたり、何か住民から文句があった場合もボードメンバーの間で議題にあがり、法的措置や、罰金などの決定され、施行されます。たとえば部屋を改装したいと思ったら、通常HOAを通さなければなりません。共有部分でなくてもHOAの許可なしに、かってに改装することは出来ません。HOAのボードメンバーの間で話し合い、問題があればさまざまな書類の提出を要求されたり、業者との会合の日を決めるよに言ってきます。あなたのユニットであっても、一軒家のように自由に改装することはできないのです。修理などの簡単なものはHOAを通さずにできますが、工事をする時間帯などの規則があるので、修理や改装前にマネッジメントオフィスと連絡をとり、修理や改装の内容を伝え、どんな書類をHOAに提出しなければならないか聞いてみてください。勝手に改装すると、罰則や裁判になることがあるので、気をつけてください。
管理料
HOA fee とかかれているもので、毎月支払わなければなりません。HOAに集められたこのお金は建物のメンテナンス(外装や共有部分)、建物の保険の代金、下水道費、ごみの収集費などにあてられています。また、将来起こるであろう大規模な修繕費用(エレベーターや屋根など)として前もって積み立てています。HOAの金額に何が含まれているかは、それぞれのコンドミニアムによって違うので、購入前に何が含まれているか確認したほうがいいです。一般に、プールやバーベーキュー施設など、共同で維持しなければならない部分が多いほうが、HOAの金額は高額になります。このHOAの値段はずっと同じ金額ではありません。年々上がっていきます。また、積み立て資金が低かったために、エレベーターやプールなどの大規模な修繕費用が足りなくなった場合、それをまかなうために、月々のHOAの値段を急に上げることもあります(年次会議などで住民に前もって説明されます)。購入前に、どのぐらいづつ上がっていくのか、また、書類に含まれている修繕費用の推計等をみて、将来にわたってきちんと修繕費用を積み立てているかを知っておいた方がいいです。
最後に、
コンドミニアムは共有部分のメンテナンスが含まれているので、一軒家を維持するようなわずらわしさがないのが利点ですが、さまざまな規則に従わなければならないというわずらわしさはあります。いろいろな事が多数決で決められるので、決められたことは嫌でも従わなければなりません。たとえば、別荘として購入し、いない間は人に貸すつもりであったのに、住民の多数がレントとして使用するのを反対すれば人に貸すことが出来なくなります。コンドミニアムは共同で建物を所有しているといことを忘れてはなりません。購入したその日から、あなたも共同者の一人として、建物がどういう状況なのか知らなくてはなりません。コンドミニアムが健全に管理されていなければ、建物はどんどん老朽化していき、資産価値はさがっていきます。また、修繕費をきちっとつみたてていなければ、高額な費用を住民全員で分配して払わなければならなくなります。年次会議やボードメンバーの会議はかならず、ミーティグミニッツ(会議記録)として書類に残してあり、だれでも閲覧できるようになっています。年次会議に出席できない時は、何が話しあわれているのか、どんな問題が起きているのかを、会議記録を見たり、出席者に聞いたりして確認することをお勧めします。
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